開発者インタビュー
  • それはこだわりから始まった
  • 目指したのは理想
  • 目指したのは理想

藤田 隆二郎

PROFILE

スキーのオフトレーニングとしてMTB(ダウンヒル)を楽しんでいたが、結婚を機に「遠方に行かなくても練習時間が取りやすい」ことから、ロードバイクにのめり込み始める。特に落車の危険が少なく、自分と戦うことができるヒルクライム競技に魅せられ、今でも月に1回ほど「富士」や「乗鞍」など大きな大会を中心に参加を続けている。「頂上まで駆け上がった時の達成感、全力を出し切った後、ゴールから眺める景色には毎回感動させられます」と語る根っからのヒルクライマー。

INTERVIEW

それは「こだわり」から始まった

 ロードバイクに乗り始めてから、GPSモデルのサイクルコンピューターをしばらく使っていました。多機能で全体的には満足していたのですが、細かいバグも多くて、不満に思うところも正直ありました。
 そんな時に社内で新規事業を推進する機運が高まり、自分の趣味を生かして「サイクルコンピューターが作れないか」と思い始めたんです。パイオニアという会社は、オーディオ機器からスタートしたメーカーです。音へのこだわりがあるオーディオ好きな人たちのために「良いものをきちんと良いと理解してくれる人に」高品質な商品を提供してきた会社です。

パイオニアの「DNA」を継承

 自転車用の商品を作ることは、これまでの会社の事業とは異なる新規事業ですが、「こだわりのある人のための商品を作る」という企業文化があれば、お客様に満足してもらえる商品が作れるのではないかと考えました。
 自分が使いたいものを作りたい、自分がお金を出してもほしいと思う商品であれば、同じようにほしいと思ってくれる人もきっといるはず。開発の困難さも考えましたが、当時から自信もありました。


サイクルコンピュータープロトタイプ

受け継がれるパイオニアの「DNA」

「環境」という名の難敵

 何となくの自信はありましたが、実際に開発を始めてみると様々な問題が発生しました。アウトドア製品の開発が初めてだったこともあり、防水性、振動への耐久性には最後まで悩まされました。
 雨が降って、走行振動が激しく、気温は低い。さらにオイルがかかるといった状況はアスリートが使用する場面として普通に想定される環境です。研究上ではうまくできたと思ったものでも実際にプロアスリートに使ってもらうと、トラブルの連続でした。
これはプロジェクトチームが一丸となって様々な環境テストや情報収集を繰り返して、課題をひとつずつ克服していくしかありませんでした。

目指したのは「理想」

 エキップアサダの浅田顕監督と一緒に開発する中で、多様な試作品を数多く作ってきたのですが、左右のペダリングのデータが計測できるものができたときに、「力の入っている方向は検出できないのか」という要望をいただきました。ちょうど自分もペダリングについて悩んでいた時期だったので、これを追求して、リアルタイムで力のかかる方向と強さが分かれば「理想のペダリングが分かるのではないか」と考えました。

浅田顕監督(あさだ あきら)

「エキップアサダ」代表/EQAU23監督
現在世界の第一線で活躍する新城・別府・宮澤選手等を育て上げた。

パワートレーニングに「革新」を

左右のペダルをがむしゃらに踏み込めば高いパワー値はでますが、それだけのこと。様々なシーンでどういうペダリングを行なった時に高いパワー値を長い時間維持できたかを知らなければスキルアップは期待できません。より速い走行を持続するためにはペダリングの質を高め、効率を上げていかなければならないと思います。

「ペダリング効率」という新たな指標

ペダリング効率は可視化できるようにしたフォースベクトルの膨大なデータから指標を切り取った数値です。きれいなペダリングをすると数値は確実に上がっていきます。自らのスキルアップを図り、効率的なペダリングを実現し、タイムの縮小を目指す上で一つの指標になると思います。

トップアスリートからの「信頼」

ベルキンプロサイクリングチーム<2015現在:チーム・ロットNL・ユンボ>と協力関係を築いてからしばらくたちます。
初めはこれまでのパワーメーターとは異なる「ペダリングモニター」が気に入ってもらっていました。
左右差が分かるところも、とても喜ばれました。ただ、本場のレースは本当に厳しいコンディションで使われることが多く、正直にお話すると使用開始直後は故障も多く、選手からの信頼を勝ち取るまでには少し時間がかかりました。

 “プロアスリートが認める製品”を目指して、厳しい品質チェック、課題の検証、テスト店舗やテストライダーからの要望の吸い上げなどプロジェクトチーム全員が協力して課題をクリアしていきました。
各々の役割をしっかり果たした事で、プロ選手との信頼関係もでき、選手からも「こういう機能を追加してくれ」とか「ここを直すと使いやすくなる」とかいろいろな情報がフィードバックされ 、それが反映された製品になっていると思います。